私は小さい頃、母屋が茅葺き屋根の家に住んでいました。母屋は祖父母とおばが住んでおり、私の家族は離れの十畳一間に家族５人で暮らしていました。お風呂は母屋の外に出たところにあり、冬はお風呂に入る時も出る時も寒くてたまりませんでした。お風呂は今ではあまり見ることの無くなった薪をくべる五右衛門風呂で、床や壁はモルタルで鉄の桶がはさまっていました。板の上に足を乗せて入り、足を踏み外すと熱いので小さい頃は怖がりながら入っていました。モルタルの床はすぐ冷え、お風呂も冷めるので入っている時には母を呼ばなければなりません。毎日毎日家族の呼ぶ声に薪をくべていた母を思い出します。薪は山に拾いにいかなければなりませんでした。拾っても拾っても燃やしてしまうので終わりがありません。藁で作った入れ物に、沢山の薪や松の葉っぱを入れて運んでいた母の姿を思い出します。

中学校に入った頃、家を建てると父親が決心しました。まず始めたのが裏山から松の木を切り出すことでした。私は遊びたい盛りでしたが、家が新しくなるという魅力で山から材木を運び出すのを手伝いました。松の皮を妹達とむいたり、運んだり、その材木は今の実家の梁や階段板になっています。壁に土を塗るのも手伝いました。「手伝え」を父に言われるのは本当に嫌でしたが、職人さんの手伝いを始めるとなぜか本当に楽しかったです。完成した新しい家のお風呂はポリウレタン製で、お湯も電気温水器で沸くようになりました。もう薪拾いも、薪をくべる必要もありません。お風呂は家の中にあり、蛇口をひねればお湯が出るようになったのです。「これでもう楽になるわ」そう言って喜んでいた母の顔を、今でも忘れることができません。

私はその時の母の喜ぶ顔を見て、「大きくなったら家を建てる仕事をしよう」と決心しました。それが家づくりの仕事にこだわるきっかけなのです。本当に家づくりが必要な時は「子育ての時」。子育て世代は住宅以外にも、いろいろと資金が必要になります。高い土地や無駄な建築費用で、後々の生活を苦しくすることはもうやめてください。

「無駄な経費を使わず、子育て世代の人生をもっと謳歌したい」でも「長年住んで時代遅れになるような家は建てたくない」そんな方こそ、私達にお声をかけていただきたいのです。